その他ヨーロッパ


ジョリ・ブラガ・サントス(Joly Braga Santos、1924 - 1988)

ポルトガルの作曲家。

  • 交響曲1番
    • 2.5点
    • 3.3点(2022/12/11)
骨太さやポルトガルということで他の欧州の音楽ではあまり聞けない情熱やエキゾチックな音の使い方を後期ロマン派の範疇で聴けるのが面白い。欧州より南米の音楽にやはり似ている。しかし、密度の薄さや構成の弱さやオーケストレーションの貧弱さは、一流作曲家とは呼べないレベルと言わざるを得ない。
(2022/12/11)
聞き直すと、ブラガ・サントスならではの濃厚さやエキゾチックさとクラシック音楽の融合が楽しめる作品であると思った。そして、4番にも似たシンプルで壮大さを持った交響曲であり素直に楽しむことができる。少なくても軽い気持ちでライトに楽しむ分には、他にはあまりない独特な渋さと民族性が混ざった音楽世界を十分に楽しめる。

  • 交響曲2番
    • 3.0点
1番よりも濃厚で壮大で充実しており、作曲家として成長して内容は良くなっている。まだマイナー交響曲らしい密度ではあるものの、それなりに聴きごたえを感じる。特に最後の楽章は結構なスケール感であり、楽しんで聴くことが出来た。骨太さは楽しいのだが、刺激が足らず細かいところが地味というのは否めない。

  • 交響曲3番
    • 2.8点
1楽章は面白くない。2楽章以降はブルックナー的な広大さを基調にして、それぞれ個性のある楽章であり、それなりに聴かせるものがある。しかし、全体にシンプルすぎて、工夫はあっても細部の密度が物足りない欠点は変わっていない。

  • 交響曲4番
    • 3.5点
壮大で、大河ドラマの主題曲のような通俗的な感じはありつつも、やはりこのようなエンターテイメント性に溢れた分かりやすくスケール感のある曲は聴いていて楽しいよねと思う。そしてその中にブラガ・サントスならではの音楽の雰囲気があるので、単なる通俗性には留まっておらずつまらないことはない。なかなか楽しめる20世紀の交響曲の一つだと思う。

  • 交響曲5番
    • 3.0点
前作と違い、やや現代的な不協和音などを取り入れた曲に聞こえる。それなりに作曲家がそれを自分の中に取り入れて音楽を書いているので、単なる平凡な曲ではない。しかしながら、必ずしても成功作品とまでも思えず、作曲者なりに新しいことにチャレンジしてそれなりに成功した曲、と言う印象である。長くないのでちょうど良い規模なのもあり、それなりに楽しめる。

  • 交響曲6番
    • 2.8点
声楽が入った交響曲。私が声楽入りがそれほど得意でないこともあり、この作品は十分に楽しめるものではなかった。もちろん悪くはないのだが、声楽は場合によっては音域の狭さなど楽器としての限界があるため音楽の幅を狭めてしまうものであり、この曲はそれに該当すると思う。

ミキス・テオドラキス (Mikis Theodorakis、 1925 -)

ギリシャの作曲家。

交響曲

  • 交響曲第1番(1953)

  • 交響曲第2番「大地の歌」(1981)

  • 交響曲第3番(1981)

  • 交響曲第4番「合唱」(1987)

  • 交響曲第7番「春の交響曲」(1983)

ニコス・スカルコッタス(Nikos Skalkottas、1904 - 1949)

ギリシャの作曲家。

  • ラルゴ・シンフォニコ

  • 妖精劇「五月祭りの呪文」組曲

  • 交響曲「オデュッセウスの帰還」

  • ヴァイオリン協奏曲

  • コントラバス協奏曲

  • ピアノ協奏曲(1~3番)

エドゥアルド・トゥビン (Eduard Tubin, 1905-1982)

エストニアの作曲家。マイナー交響曲の世界では有名でファンも多いようだ。


交響曲

  • 交響曲1番(1931–1934)
    • 3.5点
習作とのことであるが、事前に期待していたよりも圧倒的に良い曲である。この時代にしては古めかしい音楽という部分はあるにしても、それを考慮せずに聞いたら、全体的に曲の良さにかなり興奮するような場面ばかりであり、聴き終わってからも「あー、楽しかった、また聴きたい」と思った。2番以降よりも点を高くつけるのはやりすぎだろうか?曲を聞きながら終始ワクワクしたのは確かなのだから、素直にその感想を書き示しておくべきだろう。壮大にして聞き手の音楽の展開として楽しませるツボを色々と押さえまくっている。しかも旋律に凡庸さもなかった。習作でこれなら、トゥビンは天才だったのかも思ってしまう。実は楽譜を見たり実演を聞いたらがっかりするのかもしれないが。

  • 交響曲2番"Legendary" (1937)
    • 3.3点
全部の楽章が1つに繋がっている。1楽章の茫洋とし世界が曖昧に見えたり消えたりしながら、野蛮さとなんとも言えない広大さを持って姿を表して行くのが心地いい。3楽章では、力強い軍隊的な闘争的な楽章になって、これは文句なしに気持ちいい。後半のピアノソロからのヴァイオリンの不思議な力強い嘆きとも叫びとも付かないソロはなかなか痺れた。独自の我が道を行く、適度に変態でありながらとてもカッコ良い音楽は、ツボに入る人ならかなり気にいるだろう。

  • 交響曲3番"Heroic" (1940–1942, revised 1968)
    • 3.3点
闘争的な1楽章はかなりカッコいい。2楽章はかなりいい塩梅を突いた浮遊感と不思議さのある楽章で、夢幻的で楽しい。3楽章はかなり軽快で明るくて聴きやすい楽章。もちろんトゥビンらしさはキープされており新鮮さはある。2楽章と3楽章が続けて明るい楽しい楽章なため、全体としてそういう印象が強い曲になっている。

  • 交響曲4番"Lyrical" (1943, revised 1978)
    • 3.3点
1楽章も2楽章も、力を溜めながら進展する音楽である。もったいぶりながら進む、現代的な音感覚を持ちながらも聴きやすい音楽はなかなか楽しい。しなやかな叙情性もあり、スケールは大きいし、大いなるモノの周りを巡っているワクワク感がある。3楽章はその延長で盛り上げて行く。統一感がかなりあり、後で改定されているからか成熟した曲である。

  • 交響曲5番(1946)
    • 3.3点
ひねりのある音使いで浮遊感のある雰囲気が支配している。かっこよさをやや強調している。魂よりもやや技巧的な作曲技法の披露に偏っている気もして物足りなく聞いていたが、3楽章中間で突然止まった場面の衝撃にやられた。その後の勢いの復活の仕方も非常に痺れさせられるもの。

  • 交響曲6番1953–1954, revised 1956)
    • 3.3点
1楽章はファイナルファンタジーのラスボスの音楽のような異世界の巨大な異生物を表現しているかのような不思議な音楽。同じリズムを執拗に繰り返して、野生的な音楽を鳴らす2楽章。20世紀にはよくある音楽かもしれないが、打楽器の活躍などかっこよさで満足させてくれる。

  • 交響曲7番(1955–1958)
    • 3.3点
聞いている間は音の勢いとか雰囲気を楽しめる音楽ではあるが、しかし感動的だったり曲が終わってから曲を印象的な場面を思い出せるほどではない。3楽章制だが、どの楽章も雰囲気の良さと現代ならではの音使いのインパクトだけで楽章が終わっていった印象であり、特別感のある深みとか工夫は感じられない。それが現代的なのかもしれないが、交響曲としては、部分的な場面の楽しさだけではなく全体として訴える何かがほしいとは思った。とはいえ、聴いて後悔する感じではなく、結局何がこの音楽の中で起こったのかもう一度確認したくなるだけの面白さはある。

  • 交響曲8番(1965–1966)
    • 3.0点
晩年の音楽という雰囲気で抑揚のなく暗い静かな場面の多い楽曲になった。7番までは、ドンチャン騒ぐ場面も多くて派手な楽しさはあったのだが、この曲では静謐さを鑑賞する楽曲になった。派手さが良かったため、このような雰囲気だとやはりトゥビンの良さは減退してしまった感じが強い。4つの楽章の最後がレントという構成が、暗さを構成でも上塗りしていて、時折見せる音づかいの面白さでなんとか飽きさせずにつないでいたり、一瞬感動する場面はあるものの、すぐに暗い悲しい精力がないなという感想に戻ってしまう。

  • 交響曲9番"Sinfonia semplice" (1969)
    • 3.0点
8番ほど暗くはないのだが、騒ぎのような場面はほぼなくて静謐感の漂う場面が多いのは変わっていない。暗くないことも合って8番よりは聴きやすい印象があり、静謐な印象はあるものの、一定の前に進む推進力を伴いながら瞑想したり感情に浸るような場面が多くて、止まったり消えてしまうような感じではない。達観したような世界観ではあるし2つしか楽章がないのも合って構築的な楽しさは少ないものの、最後まで楽しめてもう一度聴きたい気分にはなるが、3回聞くほどではないだろうと思う。

  • 交響曲10番(1973)
    • 3.0点
最後の完成された交響曲は単一楽章になった。緊張感の高まりはあまりなく、しなやかに場面の変更が続いていくこともあり、長い交響詩のような印象である。9番や8番のような静けさのある世界観が支配的な一方で、ある程度の動きは時々は見せる。単一楽章の効果として、曲の始まりと終わりを元に構成感を作る感じではなく、無限の時間のようにゆったりとした変遷を聴けるのは、この曲ならではの良い点かと思う。その長さをが最大限の効果をあげているとは思わず、使いきれていない印象で、やや冗長な印象を与える。

  • 交響曲11番(incomplete)
未完成

  • 最終更新:2023-08-23 00:56:36

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