イタリア

イタリア

ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ(Giovanni Pierluigi da Palestrina, 1525?-1594)

ルネサンス後期を代表する宗教音楽の超大物。技術的に非常に高く、パレストリーナ様式を確立したらしい。しかし、楽曲があまりに超然としている。感情主体で音楽を聴く現代人にとって、彼の音楽に素直に感動することが難しいと思う。

  • スターバト・マーテル
    • 3.3点
悲しみに溢れており神秘的な輝きもあり、超然としたパレストリーナの曲の中では分かりやすい。

ジョヴァンニ・ガブリエーリ(Giovanni Gabrieli, 1554または1557? - 1612)

この時代にしては聴きやすく分かりやすい。いくつか聴いた印象はどれも非常に素晴らしい。

  • カンツォーナとソナタ集(1615年出版。器楽曲)
    • 3.5点
これはよい。古い音楽だが聴きやすく、暖色系のオーラに包まれるかのような包容力がある。


カルロ・ジェズアルド(Carlo Gesualdo 、1566? - 1613)

クラウディオ・モンテヴェルディ(Claudio Giovanni Antonio Monteverdi, 1567 - 1643)

ルネサンスからバロックへの、西洋音楽至上最大の変革の両方の時代に生きた、前期バロック最大の作曲家。彼の時代はまだ異世界音楽という感じであり聞きやすくないが、その中でも強く感情をほとばしらせる力は心に訴えかけるものがある。

  • 聖母マリアの夕べの祈り(1610年)
    • 3.5点
さまざまなバラエティ豊かで充実感がみなぎり滋味もある音楽が続く大作。まだバロック音楽というよりルネッサンス時代の音楽に近く、通常耳にするような音楽と仕組みが違うので、分かりやすくはない。

  • 倫理的、宗教的な森
    • 3.5点
長い曲なので、パロットの抜粋版で聴いた。「聖母マリアの夕べの祈り」同様に古い音楽ではあるが、通奏低音がより明確なラインとなっていて聞きやすいと思うし、敬虔な癒しの音楽という全体的な印象があるとともに、曲集としての総合性を感じる。自分はこちらの方が好みかもしれない。

ジローラモ・フレスコバルディ(Girolamo Frescobaldi, 1583 - 1643)

鍵盤音楽作家として有名。

  • Il primo libro di Capricci
    • 3.5点
ルネサンス的な素朴な美しさを残しており、素朴な対位法も活用している大変美しく魅力的な曲集。シンプルな曲の中にチェンバロの楽器の魅力が大変よく生かされている。個人的には非常にツボにはまる音楽である。

アルカンジェロ・コレッリ(Arcangelo Corelli, 1653 - 1713)

  • ヴァイオリン・ソナタ 作品5

  • 12番「ラ・フォリア」
    • 3.8点
有名な主題であり、ラフマニノフにも変奏曲にされている。南欧的な情熱のほとばしりに圧倒される主題だけでなくさらに情熱をかきたてる変奏技術の見事さにより、一度聴いたら忘れられない曲に仕上がっている。

合奏協奏曲集 作品6

  • 1番
    • 3.0点
どの楽章もがっちりとした構築感があり、例えばヴィヴァルディのようにさらっと短時間で書いた趣はない。音の響きや音使いのバロックらしい美しさが基調なのだが、そのうえで楽章の連結の考慮や高度な計算されたバランスを構築している。ただ、正統派の曲であるが、その分固苦しくて面白くない気がした。あまり心が踊らない。

  • 2番
    • 3.3点
1番よりもダイナミックで楽しい。特に最後の楽章の手際の良い切れ味もある締めくくりの音楽はなかなかの出来栄えだと思う。音楽の密度が濃い。

  • 3番
    • 3.3点
短調であり、激情の表出がある。中間でエレジーのような悲しみの詠唱から、堰を切ったように激情の曲になる箇所がとくに極端である。とはいえ、情に流されすぎず場面を手際よく作っていく音楽という印象である。

  • 4番
    • 3.3点
ザクザクとした鋭い切れ味と豊穣さを両立した1楽章は見事。他の楽章もそれなりに良い。最後の楽章が見事に気持ちよく締めくくる感じが爽快で気持ち良い。

  • 5番
    • 3.0点
変ロ長調らしい柔らかさがある。伸びやかな解放へ向かう感じもある。一方で音楽の密度が濃すぎる堅苦しさもデメリットとしてより気になる気がする。

  • 6番
    • 3.3点
前半は性急さや詰め込みすぎがなくて、田園的な楽天的気分でゆったりした所があるのが心地よい。2楽章の旋律美も心の琴線に触れるものがあって良い。とはいえ緊密に書かれているのと、最後の楽章では短調で緊張感を高めていくため、最後まで続くわけではない。

  • 7番
    • 3.3点
軽快かつ機敏でありきたりでない音楽になっている。ソロの使い方の面白さが耳をつく。最後の終わり方も面白い。ふわっとした機知とでも呼びたい面白い仕掛けの工夫の楽しみが多くて楽しい曲。構成もひねりが効いている。

  • 8番
    • 3.5点
コレッリ合奏協奏曲の中で有名であるとともに規模が大きい。この時代からクリスマスの音楽の雰囲気が現代に似ているのに驚く。多くの楽章が様々な表情を見せながら、聖なる夜の音楽を演出してくれるのに浸れる。その曲調の分かりやすさと統一感が、他の曲よりもおすすめしやすい点といえるだろう。

  • 9番
    • 3.0点
手際の良いところが気持ちいいし、諧謔的な軽い面白さも良い。しかし、心を強く捉えるほどの曲ではないと思う。

  • 10番
    • 3.0点
様々な曲がある正統派の曲。しかし、旋律の魅力が全般に乏しい。悪く言えば、ただ音が鳴っているだけに聴こえる場面が多い。

  • 11番
    • 3.0点
小ぶりな曲。全体的に終焉の雰囲気が流れており曲想に統一がある。分かりやすい一方で一本調子にも聴こえる。聴き終わった後にあまり満足感を多く残してくれない。

  • 12番
    • 3.3点
平均的な楽章が続く曲に思える。コレッリらしい音使いの美しさと緊密さは楽しめるが、この曲ならではのものはないと思う。しかし、やはり改めて冷静に聴くとおとぎ話の世界のようでもあり、バロック音楽屈指の美しい音世界のようにも思える。

ジュゼッペ・トレッリ(またはトレルリ)(Giuseppe Torelli, 1658 - 1709)

  • 合奏協奏曲作品8
    • 2点
それなりのクオリティではあるが合奏協奏曲の一流作品と比較すると底が浅くて面白くない。


アレッサンドロ・スカルラッティ(Alessandro Scarlatti, 1660 - 1725)

  • 聖セシリアのミサ曲 St Cecilia Mass(1721年)
    • 4点
非常にすばらしい。合唱とオーケストラによる編成のミサ曲の最初期の作品だが、すでに驚くべき完成度と精神的・音楽的な高みに達している。

トマゾ・アルビノーニ(Tomaso Giovanni Albinoni, 1671 - 1751)

ドメニコ・スカルラッティ(Domenico Scarlatti, 1685 - 1757)

大量のソナタで有名。ソナタは南国らしいシンプルな快活さで、ハープシコードらしい魅力を楽しめる。ただしシンプルすぎて同じような曲が多いため、スコット・ロスの全曲録音を聴きとおすことは一生ないだろうとも思う。

アントニオ・ヴィヴァルディ(Antonio Lucio Vivaldi, 1678 - 1741)

大バッハも大いに研究したイタリア・バロックの大作曲家。他の同時代のイタリア作曲家と比較すると、輝かしくも複雑で陰影を秘めており、曲の放つ魅力は断然優れている。メロディーセンスもある。

ヴァイオリン協奏曲

作品3 12曲の合奏協奏曲集『調和の霊感』

  • 第1曲
    • 3.0点
素朴でオーソドックスな中に瑞々しい感受性が感じられて素敵。特に2楽章はロマン派の音楽のように感情的である。

  • 第2曲
    • 2.5点
短調で劇的な雰囲気を一応楽しめるが、あまり面白い曲と思わなかった。

  • 第3曲
    • 2.8点
長調と短調を混ぜた構成で工夫は感じるが、曲の良さにはいまいち繋がっていないと思う。

  • 第4曲
    • 3.5点
短調の曲。バロック的な感情的でなくシンプルな短調の響きの美しさをおおいに発揮している。活気があり、バランスが良いため楽しめる。

  • 第5曲
    • 3.5点
1楽章の単純明解な楽しさと、2楽章の大変美しい叙情性の対比が聞き物。3楽章も悪くない。

  • 第6曲
    • 3.3点
短調の魅力を発揮しているが、単純さの中に神がかり的なものを見せるヴィヴァルディの天才が今ひとつきれいに発揮されていない気がする。中間楽章の叙情性は美しい。

  • 第7曲
    • 3.5点
5つの楽章からなり、それぞれ大きく異なる雰囲気のため、バラエティと起伏に富む感じが楽しい。それぞれは素朴ながらも全体として豊かな音楽という印象が強い。

  • 第8曲
    • 3.5点
2楽章が魅力的。同じフレーズの繰り返しが産む美と憂愁の世界が素晴らしい。1楽章や3楽章も短調の美と躍動感を両立して素晴らしい。

  • 第9曲
    • 2.8点
全部の楽章において、雰囲気は悪くないのだが単純すぎて情報量が少なく、物足りなさが残る。

  • 第10曲
    • 3.3点
2楽章は単調だがなぜか楽しめる。3楽章は分厚い音の積み重ねが聴いていて楽しいし、変化もあって楽しめる。

  • 第11曲
    • 3.0点
3楽章のフーガはもの珍しい気分で聴ける。フーガでもヴィヴァルディは華やかなである。4楽章は訴えかけるようなソロが楽しい。

  • 第12曲
    • 3.3点
伸びやかな雰囲気が印象的。後年の協奏曲に通じるものをそれとなく感じる。密度は平均より高いが、もう一つ突き抜けないものがある。

作品8 12曲の協奏曲集『和声と創意への試み』(『四季』を含む)

  • 1曲目「春」
    • 5.0点
一楽章は大変有名な曲だが、やはり主題が大変に魅力的で素晴らしい。中間の嵐を描写した部分もよい対比になっている。3楽章の伸びやかな主題も魅力的。

  • 2曲目「夏」
    • 3.5点
3楽章の嵐の描写が楽しい。1、2楽章は描写的で楽しいものの、ノリが良くない。

  • 3曲目「秋」
    • 3.5点
3楽章のウキウキする感じが楽しい。1楽章も夏の後に続けて聴くとノリと普通のメロディーの曲に戻って楽しい気分になる。

  • 4曲目「冬」
    • 4.0点
2楽章の有名な雪景色のような甘く美しい旋律が素敵。1楽章はノリノリで楽しい。3楽章のレティタティーボのようなフレーズから始まる美しい短調のソロも楽しい。

その他

  • ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 『ピゼンデル氏のために』 RV.242

フルート協奏曲

作品10の6曲のフルート協奏曲集は史上初のフルートのための協奏曲とのことである。6作中5作は旧作の転用である。

  • 第1番 ヘ長調『海の嵐』 RV.433
    • 2.5点
音階を多用し活発な印象。これが海の嵐を表しているのだろうか。かなりのスピードで演奏が大変そう。

  • 第2番 ト短調『夜』 RV.439
    • 3.3点
6つの楽章がある特殊な楽章構成。3つのラルゴ楽章の夜の雰囲気が素敵。それに挟まっている快速の楽章も効果的。短調が美しい。

  • 第3番 ニ長調『ごしきひわ』 RV.428
    • 3.5点
1楽章や3楽章の活発で伸びやかな中に懐の深さを感じさせる曲や、2楽章の清新で美しく柔らかい曲など、ヴィヴァルディの協奏曲の魅力に溢れている曲。1楽章の鳥の鳴き声の模倣も楽しい。

  • 第4番 ト長調 RV.435
    • 2.8点
活発なヴィヴァルディらしいコンパクトな曲。しかし、ありきたりすぎる。

  • 第5番 ヘ長調 RV.434
    • 3.0点
優美で柔らかく穏やかな曲調。特に2楽章は珍しくドイツ系のよう堅いが哀愁漂う美しさ。どの楽章もフルートのもつ美しさを堪能出来る。

  • 第6番 ト長調 RV.437
    • 3.0点
1楽章のオクターブをトビハネルユニゾンのダイナミックな主題の魅力はなかなか。3楽章の大活躍するフルートがまたダイナミックで楽しい。

フランチェスコ・ジェミニアーニ(Francesco Geminiani, 1687 - 1762)

ジュゼッペ・タルティーニ(Giuseppe Tartini, 1692 - 1770)

  • ヴァイオリンソナタ 悪魔のトリル
    • 3.5点
バロックらしい弦楽器がずっと出ずっぱりで弾きまくる楽しさ、技術的な難易度の高さゆえの複雑さ、デモーニッシュな音楽的刺激で楽しめる曲。バロック音楽におけるヴァイオリン曲の魅力があるが、もっと後の時代の音楽のような内容の豊富さと強烈さがある。

ピエトロ・ロカテッリ(Pietro Antonio Locatelli, 1695 - 1764)

典型的イタリアバロックの作曲家。音楽性はヴィヴァルディとコレッリを足して3で割った感じ。書いたのは快活で爽やかあり耳障りがよいが単純な曲である。ヴァイオリンはテクニカルなようだ。

ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ(Giovanni Battista Pergolesi, 1710 - 1736)

古典派様式の初期の様式を示した天才作曲家。夭折が惜しまれる。

  • スターバト・マーテル

ルイジ・ボッケリーニ(Luigi Rodolfo Boccherini、1743 - 1805)

ハイドンのライバルの一人。有名なメヌエットに限らずなかなか高いクオリティの曲を書く良い作曲家であり、古典派の魅力を楽しめる。

  • 交響曲ニ短調Op.12-4 G.506『悪魔の家』

  • 交響曲ハ短調Op.41 G.519(1788/1797出版)
    • 3.0点
古典派の短調の交響曲として、どの楽章もなかなか完成度が高く内容的にも充実している。ハイドンやモーツァルトを聴いた後に次に手を出すにはよいと思う。

  • チェロ協奏曲第9番変ロ長調G.482
    • 2.5点
チェロの技巧的な難易度が高そうでチェリストの意欲をそそるのかもしれない。しかしながら観賞用の曲としてはいい曲とまではいかない。

  • 弦楽五重奏曲ホ長調Op.11-5 G.275[4楽章](第3楽章は『ボッケリーニのメヌエット』として有名)

  • 3つの弦楽五重奏曲Op.39 G.337~339(1787)[2vn,va,vc,cb]
    • 3.5点
コントラバスが入っているとオーケストラのような重厚感が出る。音楽的にもなかなかの充実感で楽しく聴き終えて満足できる。

  • 弦楽五重奏曲集 作品27
    • 3.0点
すごい特徴や素晴らしさがあるというわけではないが、安心のハイクオリティである。

  • フルートとハープのためのソナタ集 作品5
    • 3.0点
編成のせいでホテルのロビーにかかっているような音楽になっているが、割とちゃんと書かれているように聞こえるので楽しい。決してただの機会音楽ではないように感じる。


マウロ・ジュリアーニ(Mauro Giuseppe Sergio Pantaleo Giuliani, 1781 – 1829)

  • ギター協奏曲1番
    • 3.0点
ジュリアーニの協奏曲は1番が有名だそうだが、1聴した限りでは3番が好み。1番はギター協奏曲としての良さは十分だが、割とノーマルな音楽に感じた。

  • ギター協奏曲2番
    • 2.5点
いい曲認定は出来ないが、古典派音楽のギター協奏曲というだけでも素敵で、ギターが好きな人は聴く価値がある。

  • ギター協奏曲3番
    • 4.0点
この曲は好み。かなり良い。ギターの美しさに満ちており、古典派音楽の良い部分とうまく結合している。3つの楽章すべてがよい。穏やかで愛らしく気品がある。


ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Antonio Rossini, 1792 - 1868)

ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Fortunino Francesco Verdi、1813 - 1901)

19世紀イタリアオペラを代表する大作曲家。重厚な中にドラマを音で見事に形作り、観る者を引き込む力は天下一品。

ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Antonio Domenico Michele Secondo Maria Puccini, 1858 - 1924)

甘く流麗なメロディーが魅力の20世紀を代表するオペラ作曲家。
蝶々婦人以外は断片しか知らないのだが、蝶々婦人の1幕最後の二重唱に関しては甘く切なくとろけそうな時間が延々と続いて最高に楽しくて大好きである。

ジュゼッペ・マルトゥッチ(Giuseppe Martucci 1856 – 1909)

イタリアといえばオペラであるが、この人は珍しい器楽曲中心の人。イタリアらしい魅力はちゃんとある。交響曲はかなりの魅力作である。

  • 交響曲 第1番 ニ短調 作品75

  • 交響曲 第2番 ヘ長調 作品81

  • ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 作品番号なし

  • ピアノ協奏曲 第2番 変ロ短調 作品66

  • ピアノ五重奏曲 ハ長調 作品45

  • ピアノ三重奏曲 第1番 ハ長調 作品59

  • ピアノ三重奏曲 第2番 変ホ長調 作品62

  • ヴァイオリン・ソナタ 作品22

  • チェロ・ソナタ 嬰ヘ短調 作品52


ピエトロ・マスカーニ(Pietro Mascagni, 1863 - 1945)

  • カヴァレリア・ルスティカーナ 間奏曲
    • 5.0点
イタリア美しい自然と、その中に息づく人間達の悲喜を見事に描く、珠玉のように美しい名曲である。

フェルッチョ・ブゾーニ(Ferruccio Busoni, 1866 - 1924)

  • ピアノ協奏曲(1904年)
    • 1.5点
一番長く合唱付きのピアノ協奏曲ということでマニアの中では存在は有名な曲。しかし、内容的はあまりみるべきものはない。合唱も効果的とはいえない。

  • 対位法的幻想曲(1910年)
    • 3.0点
長い曲。フーガの技法を活用した部分はなかなかよかった。

  • バッハの無伴奏ヴァイルリンのためのパルティータ第2番ニ短調からシャコンヌのピアノ編曲
    • 2.5点
大仰であり、あまり好きな編曲ではない。



オットリーノ・レスピーギ(Ottorino Respighi, 1879 – 1936)

  • ローマの噴水 Fontane di Roma (1915 – 16年)

  • ローマの松 Pini di Roma (1923 – 24年)

  • ローマの祭り Feste Romane (1928年)

  • ピアノ協奏曲
    • 2.5点
まるでグリーグの協奏曲のように、やたらとロマンティックな曲である。オケが薄い気がするし、音楽のつくりの線が細くて断片の集合のように聞こえる。おおっと思う部分もあるが、全体的にはいまいち。

  • ヴァイオリンソナタ
    • 3.3点
ブラームスの重厚で濃厚な雰囲気と、リヒャルト・シュトラウスの爛熟感をベースに、もう少し近代的な音感覚で書いた作品というイメージ。巨匠的な名作感とか、完成度に驚くようなものはないのだが、曲の存在感があるため記憶には残る作品になっている。曲の幻想的で儚い憧れを秘めた濃密な感情に強く揺さぶられる楽しみがある。

イルデブランド・ピツェッティ(Ildebrando Pizzetti, 1880 - 1968)

  • 夏の協奏曲
    • 2.0点
イタリアらしい活気あふれた音楽。夏らしいとは言えるが、日本のような猛暑という感じではない。ロマン派的で聴きやすいが、映画音楽のように軽く、部分は悪くないのだが、聴き終えてみると魅力が残らない。



ジャン・フランチェスコ・マリピエロ(Gian Francesco Malipiero, 1882 - 1973)

交響曲は近代らしく様々な曲があり、かなり面白い。マイナー交響曲の作曲家の中では屈指の大作曲家である。

交響曲

  • 第1番「四季のような四つのテンポで」(1933年)
    • 2.8点
強烈な色彩のコントラストがとにかく面白い曲。しかし、1枚もしくは4枚の抽象画のようであり、時間という音楽の強力な要素を使ったストーリーがない。軽く聴くだけだと楽章ごとの色合いも単調であり差異が分かりにくい。音の面白さだけで終わった曲と感じた。

  • 第2番「悲歌」(1936年)
    • 3.0点
1番と同様に色彩的な多彩さの面白さがメインの曲であるが、ダイナミックなロマン性も持っておりだいぶ聴き応えが増えている。抽象的な世界ではあるが、音が踊って跳ねたり、心に訴えかけたりもするようになった。ドビュッシーやラヴェルを近代化したような印象はやはり受けるが、作曲者の個性が発露して、交響曲と呼べるだけの充実感を一応備えている。

  • 第3番「鐘」(1944年)
    • 3.0点
より夢幻的な世界になった。また、バレエ音楽のように音の活気のある音楽になった。場面展開にメリハリがあり、ダイナミックに聴き手を翻弄するようになった。交響曲という感じはあまりしないかもしれない。

  • 第4番「イン・メモリアム」(1946年)
    • 3.0点
様々な身体を動かさせる音の動きのバレエっぽさと、音の鳴り方が簡素になって簡単に割り切れるようになったことから、ストラヴィンスキーに似てきており新古典主義に近付いているように聴こえる。難しいことを考えなくても耳を楽しませてくれる音楽ではあるが、後に残るものはあまりない。とりとめのないような場面展開もバレエ音楽か組曲のようで、精神性に乏しく構築感も少なくて交響曲という感じはしない。最後は精神性な盛り上がりを少し作るが。

  • 第5番「エコーによるコンチェルタント」(1947年)
    • 3.0点
ピアノ協奏曲の要素のある曲。バレエ音楽風なのは変わらず。野性的な趣もある新鮮味のある強烈さが面白い。ピアノの使い方が効果音的であり、そこそこ活躍するもののあまり前面には出ていない。しかし、ピアノの刺激がマリピエロの音楽の面白さをより明確にしてくれている。

  • 第6番「弦楽のための」(1948年)
    • 2.8点
弦楽合奏のための交響曲。しかし、単に色彩感がない残念さが際立ってしまったように思う。それを代替する良いところが自分には見つからなかった。やや単調なようにも思う。

  • 第7番「カンツォーネ風」(1948年)
    • 3.3点
他と同様の多彩な面白さと色彩感の強いバレエ音楽のような曲。変化し続ける雰囲気の面白さに熟練の磨きがかかっている気がする。中世的な神秘性が時折顔を覗かせる効果もはっとさせられる度合いが強くなっているかも。

  • 第8番「小交響曲」(1964年)
    • 3.0点
月日が経過し調性感が薄くて浮遊感があり、不安やモヤモヤをそのまま音楽にしたような曲になった。7番までの交響曲が基本線は同じであることを思うと、ここで急に全くの別世界の音楽になって驚く。ショスタコーヴィチの交響曲に登場する不安を表現する音楽にかなり違いが、あれほど根暗ではなく、もう少し色彩感は付与されている。独特だが、これはこれで楽しめる。しかし、心を強くえぐるような感じではない。

  • 第9番「ため息」(1966年)
    • 2.8点
小規模な交響曲である。室内とか弦楽合奏かと思うような音の薄い場面が多く、その響きの前提でマリピエロ独特の音の使い方で音楽が鳴り続ける。事件はほぼ発生せず、マリピエロ自体の幻想的で光の線が織りなすかのような音楽の楽しさはあるものの、変化は大きくなく聴きどころを挙げるのは難しく、交響曲としては微妙な出来である。他の人に勧められるレベルに達しているか微妙なラインである。

  • 第10番「アトロポ」(1966-1967年)
    • 2.8点
この曲も9番とほぼ同様の印象である。小規模な交響曲であり、短時間で聴けるのと、マリピエロの面白さは感じられるが、それだけであり聞いた後に残るものは少ない印象。音としては刺激的で楽しめる部分はあるが、気力不足を感じてしまい、おすすめできるか微妙なレベルである。

  • 第11番「バグパイプ」(1969年)
    • 2.8点
最後の交響曲はさらに楽章の長さが短くなり、もはや小曲集という雰囲気であり交響曲らしさは少ない。ショスタコーヴィチの最後の交響曲のような虚無感が増えている。精気の衰えをさらに感じて悲しいが、それでもマリピエロらしい面白さを見せる場面はある。

協奏曲・協奏的作品

  • ヴァイオリン協奏曲 第1番(1932年)

  • ヴァイオリン協奏曲 第2番

  • フルート協奏曲

  • チェロ協奏曲

  • ピアノ協奏曲 6曲

室内楽

  • 弦楽四重奏曲


アルフレード・カゼッラ(Alfredo Casella, 1883 - 1947)

  • ピアノ、ティンパニ、パーカッションと弦楽のための協奏曲
    • 2.5点
面白い編成を生かして、バランスが良くて効果的なパンチの聴いた音楽になっている。


マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ(Mario Castelnuovo-Tedesco, 1895 - 1968)

  • ギター協奏曲1番
    • 1.5点
ギター協奏曲の中では有名な部類だそうだが、全体を通していい曲とは思えなかった。

ニーノ・ロータ(Nino Rota、1911 - 1979)

映画音楽の作曲家として著名の人だが、本人はクラシック音楽が本業と思っていたようだ。しかしながら、残念ながら映画音楽ほどの魅力はクラシック音楽からは感じられないと思う。

  • 交響曲第1番ト長調(1935年 - 1939年)
    • 2.5点
最後の楽章が本格的。クラシック専門の大物作曲家と比較すると、交響曲としてはアマチュア感があり平凡。とはいえ所々楽しめるところはある。

  • 交響曲2番
    • 3.0点
ニーノロータの交響曲の中で一番気に入った。描写力がすごいので楽しめる。一番映画音楽っぽく感じる。結局、それが音楽性を生き生きとさせていると感じられた点なのだろう。

  • 交響曲3番
    • 2.5点
映画音楽の描写力と絶対的な音楽の形式や精神の融合がうまくいっている。初期と比べると実力が上がっているのが分かる。

  • 弦楽のための協奏曲(1964年 - 1965年)
    • 2.5点
遅い曲がしなやかが柔らかい。緩急のつけ方、早い曲の心情的な切迫感もニーノ・ロータらしさが出ている。最後の楽章が頑張っている。

  • フルート、ヴァイオリンとピアノのためのトリオ
    • 1.5点
あまりたいした曲ではなかった。

イルデブランド・ピツェッティ(Ildebrando Pizzetti, 1880 - 1968)


  • 最終更新:2023-08-23 22:48:41

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